業界紙掲載文
業界紙寄稿 包装機械新聞 2012/1月15日号掲載文
■重要な基本を再認識し、閉塞する日本を再興したい
ストラパック株式会社
代表取締役 下島敏男
包装機械工業会会員の皆様には健やかに新しい年を迎えられたこととお喜び申し上げます。まずは、東日本大震災で被災された方々に改めてお見舞い申し上げます。
今さらいうまでもなく昨年は予想できなかったことが日本だけでなく,世界各地で起こりました。ほんとに一寸先は闇のことわざの通りです。東日本大震災では被害に遭遇しましたが,幸い人的被害はなく物損だけで済み、タイ工場の洪水も一時は被災を覚悟しましたが、浸水することなく終結に向かいました。被災されたお客様には出来るかぎりの復興のお手伝いをさせていただいております。
想定外の天災に遭遇しても我々民間企業は,基本的には何ものにも頼ることは出来ず自力で解決して行かなければなりません。天災に等しい昨年来の円高についても、当社は標準の梱包機をタイと中国で作っているので、影響は大きくありませんが、最も付加価値の高い特殊機械が大きな影響をうけて困っています。しかし、日本政府に円高を何とかしてくれといっても所詮頼りになることはありませから、これも自力で解決して行かなければなりません。
つい3年前のリーマンショックで大きく業績が落ち込んだ時に,私どもは経営陣から先頭を切って給料のカットから始まり、最悪時には一般社員にまで負担を強いて、まさに爪に火をともすような経費削減を進めて困難を一緒に乗り越えました。努力の結果、現在元に戻すところに来ました。ただ、一般社員の給料は元の水準に戻せますが、税務上は役員の給与は別。簡単に元に戻すことはできず、役員賞与扱いで有税だというのは全く理解できません。 必死に稼ごうとしている人より、使う人を大事にするのは本末転倒でしょう。
それにしても現在の日本は平和憲法があるから誰も攻めてこないと思い、他国に守ってもらっているのが当たり前と思っている平和ぼけからはじまり、国の存続に一番大事な基本的なことを忘れてしまっています。基本がしっかりなされていなければできないことばかりを、当たり前と思って論議し、その政策を実行していることに大きな危惧を感じています。東日本大震災という警鐘をうけとめ、いま本当に何が大事なのかを改めて見直す必要があるのではないでしょうか。
その第1は 誰もが日本が産業立国であることを忘れてはならないということです。日本は資源がないので、海外から原料を輸入して、加工したものを海外に輸出して稼いできました。戦後一生懸命稼いできたその資金と一緒に自分たちが汗を流して海外に投資をし,出ていって稼ぎを続けています。しかもベルリンの壁の崩壊以後、自由経済に参入してきた多くの発展途上国の低賃金国との価格競争で苦労しながら戦っている努力を今の政府の議員さんや公務員の人達はちゃんと認識してくれているのでしょうか?日本製品は優れた機能を持ち、品質も最高級で多くの国の人から信頼されています。そのような商品のほとんどは民間の人達が汗を流して創り出しているのです。 また日本人が海外から尊敬され信頼されていますが、日本人が先祖から受け継いできたDNAが失われようとしていることも残念でなりません。昔からの「働かざる者食うべからず」「稼ぐに追いつく貧乏なし」という諺が死語になりかかっています。今の日本の国家財政は完全に赤字の借金漬けです。我々民間企業はどんな借金でもきちんと返さなければなりませんし、赤字会社に金融機関は資金を貸してくれませんから、身を削ってでも赤字にならにように努力をします。ましてや借金を返さなければ、経営者には借金取りが地獄の底まで追いかけてきます。今の政府の人達は、人間として借金はきちんと返すという、守るべき事を完全に忘れてしまったというしかありません。
第2に、いつもおかしいと思うのは、日本の食料自給率は40%以下だと警鐘を鳴らしているのに、何故休耕田があっちこっちに沢山あるのでしょうか?それに米を作らない農家に補償を支払わなければならないのでしょうか。日本の農産物は日本の工業製品並に高品質で素晴らしい味を持っています。遊んでいる休耕田で米を作って、飢餓で苦しんでいる国々にODA援助として無償で配れば、うまい米の味を覚えて、いずれ何十年か後に日本の米の消費者になってくれる日がやってくるのではないでしょうか。
また世界人口の1~2%の金持ちだけでも1億人以上の人がいますから、この人達を対象にした農産物を生産し供給することを何故考えないで、自由化反対を叫ぶのでしょうか?タイの日系デパートで日本の物産展をやると、初日にタイの金持ちに買い占められてしまうそうです。JAにしても日本の農家の人達と今持っている豊富な資金量と一緒に、海外で大農場を作るくらいの発想の転換があって良いのではないでしょうか。 守りの利益は有限、攻めの利益は無限大です。農業といえども海外を相手にして稼げるはずです。
第3に、国の冗費を削らずに何で増税しようとするのでしょうか?まだまだ国の組織を簡略化して効率をあげれば、増税をしないでも済むように思います。以前アメリカで工場を立ち上げて落成式に市長さんを招待したところ、市長さん自ら車を運転して一人で来てくれました。 国内で落成式をしたとき町長さんの代わりに助役さんが運転手付きで来てくれました。こんなところにも合理化の種があります。やらなくても、止めてもいい仕事がたくさんあるのではないでしょうか。
特に大きな問題は公務員の給料が大変高止まりしていることです。表の月々の給与のみならず、退職金や年金など国が負担している総額が問題だと思います。バブル崩壊以降この20年余、民間の企業はほとんどベースアップはありません。極力正社員を減らして、社員が退職しても正社員は採用しないで、派遣やパートの人達で補っています。今までの正社員を雇っていたのでは、国際競争に負けることがわかっているからです。
不況時に企業の経営者が行動する当たり前のことを、国の上に立つ人達が、自ら身を切って率先垂範してもらわなければ誰もついてきません。そのほか、自衛隊を日陰者扱いにしたり、権利ばかり主張し義務を忘れるなどを改善しなければなりません。自由を謳歌するには規律を守らねばなりません。さらに日本国民として愛国心をもち国旗や国歌を大事にすることは、世界中どこの国でも当たり前のことです。
日本人のほとんどの人は、現在日本が抱えている矛盾に気がついています。日本はこのままではいけない、変えなければならないこともわかっています。それでも現状を維持したいと思う勢力に、勇断をふるえる人がいません。私たちもこの日本の没落を防ぐために、地元の国会や市区会議員の人々に積極的に接して、この国を復興し良くするために働きかけていかなければならないと思います。
以心伝心ではいけません、きちんと主張や発言をしようではありませんか。そういう意味で、昨年末に行われた大阪府と市の選挙で圧勝した維新の会が日本の閉塞感打破のきっかけになることを期待したいと思っています。
(記入日:2012-01-23)
業界誌寄稿3 包装技術 2011/5月号掲載文
■逆ルックイースト?・・・
ストラパック株式会社
代表取締役 下島敏男
今年の2月ベトナムと十数年ぶりにシンガポールを訪問しました。かつて30年程前にマレーシアのマハティール首相は「ルックイースト政策」を提唱しました。バブル崩壊やリーマンショックの影響があったとはいえ、この心地よい言葉に酔いしれて、この30年間にどれだけ日本が進歩できたのか、今回特にシンガポールに滞在して、大きく反省する必要を痛切に感じました。
かつて社会主義政治体制をとっていたが、自由経済体制に変わった国々を訪問すると、個人企業はとてもまぶしく感じます。一方自動車や家庭電化製品の普及も盛んで、その消費市場の拡大もうらやましく思います。街をゆく自動車は、かつて日本名の看板の入った中古車が沢山走っていましたが、最近では新車が急激に増えています。でもブランドはヒュンダイ(現代)とかデェウ(大宇)といった韓国メーカー、テレビや洗濯機、エアコンなどもサムソンとかLGがホテルの什器備品を占拠しています。またタイや中国の私どもの海外の工場の協力企業には日本製の最先端をゆくNC、MCの工作機械がところ狭しとならび、単体の機械だけでなく工場全体を管理する総合的なシステムで導入している工場も見かけます。またお客様である現地の日系工場でさえ、当初の日本製設備から買換期になると台湾製の機械を導入する工場が増えています。
このように大きく変わろうとしている元気な地域が沢山あるのに、日本は意気消沈し多くの人々に停滞感が蔓延しています。日本人の多くは、今の日本を改革しなければならないことは分かっていますが、自由経済を享受している日本にありながら、保護主義を守ろうという旧体制勢力や些細な反論に気を遣って何もできない政治家が多くて、あらゆる面で問題を先延ばしにしていたのが現状ではなかったでしょうか?
シンガポールの国家財政は、税金は低くても、他国に投資したリターンがあって完全に黒字、最近全国民に数百ドルを配ったとのこと、赤字国債で子ども手当を配る国とは大違いです。産業立国を基本として、ハイテク研究者を海外から集めるべく環境や整備を整えた研究機関を作り、産業のみならず工業も誘致するなど、多少独裁的であっても、信じることを徹底してやっているリーダーのいる国のやり方や、発展している市場で成功している国々のメーカーの手法を謙虚に学ぶ必要が出てきていると思います。
3月11日に発生した大地震と津波、不幸にして大きな災害となった東日本大震災で表面に出てきた、世界のメーカーを支えているのが、日本の工業製品や部品であったこと、災害で混乱しても日本人の秩序ある行動など、日本人としての誇りあるDNAが残っていたことから、まだまだ日本も捨てたものではありません。まず第一に自信をとりもどして、日本が産業立国であることの基本を忘れずに、一日も早く被災した東日本の復旧復興を、そして私たち日本人が一致団結して、それを推進すると同時に、新しい日本の再興と確立をするきっかけにして行くように、私たちの小さい力でも日々努めて行きたいと思います。
(記入日:2011-05-10)
業界紙寄稿2 包装技術 2011/1月号掲載文
■ボーダレス時代を勝ち抜くために
ストラパック株式会社
代表取締役 下島敏男
明けましておめでとうございます。私は昨年欧州を二度訪問し、ボーダレス時代というこの言葉を実感してきました。世界を揺るがしたリーマンショックで日本の金融機関は政府からの資金援助を受けましたが、欧州でも同様、金融情勢の悪化で多くの企業が貸渋り貸剥がしに遭遇して居ます。また欧州各企業は売上の急激な減少から、各社会社存続のためにリストラ、主にレイオフを行ったとのこと。その後売り上げが回復基調に入ると、生産に大きな影響が出てきました。特にレイオフによる働く人たちの労働意欲の減退で、品質や納期が混乱し、あまりのクレーム増加に長年の販売先を失う企業もありました。日本でのリストラは、先に役員の給与カットなどのあらゆる手を打って最後にレイオフをという順序ですが、欧米の中小企業の社長のなかには人に手をつけるのは最後だという意見を言う人もいて、日本的なやり方も必ずしも間違いでないことを認識しました。
久しぶりに英国バーミンガムで行われたPAKEX包装展をみて、あまりにも規模が縮小されていたのには驚きました。国際包装展同士の競争は大きいパックエキスポやインターパックは拡大傾向、その他は縮小してローカル展になるのではないか感じます。日本では東京パックとジャパンパックが隔年で行われていますが、出品社や見学者にとっては毎年となり、今のままでは特徴のないローカル展示会になってしますのではないかと危惧しています。主催両団体とも、いまや時代の要求に対応すべき時にきたように感じます。
日本はデフレ不況のにもかかわらず、円高で各メーカーとも苦慮しています。しかし、日本製品に対する評価はますます高まっているように思います。でもこの高価格がいつまでも続けられるとは思いません。隣国韓国の製品が低価格で市場を席巻しています。我々包装業界も国内重視から、今発展している、発展途上国を相手にする商売に転換しなければならないでしょう。日本の包装の優れた技術、ノウハウは、日本で通じれば、世界に受け入れられます。私たち日本の包装人も自由に海外相手に商売をする本当のボーダレス人間にならなければと強く思います。ボーダレスという時流に乗らない限り日本企業も日本の国も存在できない時代ではないでしょうか。
(記入日:2011-02-18)