ひとこと言わせて
President’s Mutter

渓流釣りの名人に習う

私の趣味

公開日時:2010.08.30

私は年に一、二回程度ですが深山の渓流釣りにはまって20年ほど経ち多少の自信はもっていました。

今年7月の第一土曜日の夜、飯豊山を源流とする目的地の川につき車の中で就寝、翌日曜日まだ薄暗い4時に起床し川に入る。その名人は8mの長い竿をつかい、仕掛けの道糸は竿と同じ位の長さである。川の流れから1メートルほど離れた河原からそっと餌をつけて仕掛をながす、あっという間に一匹吊り上げる。それも20センチを越す岩魚である。

こんなところに魚がいるのかと首を傾げるような感じの流れの中からである。私たちの仕掛けは、竿の長さの半分以下と短く提灯釣りというが、何時も狙うポイントの淵や白い泡の立つ落ち込みとは程遠いところ、すべて想定外なところから釣り上げたのである。

正直「エッと」絶句し脱帽、なれば「守破離」の精神で、名人の言うとおりに竿を振る。本州では、どんなに深い源流に遡っても一日に二、三匹釣れれば御の字というのに、私でも十数匹の岩魚を釣り上げることができた。なかには初めて見る縄文岩魚もはいっている。大きい26.5センチと25センチ、針を飲み込んだ中型の3匹をいただいて、縄文岩魚も含めてあとは全部放流する。

この名人はごく普通のサラリーマン、シーズン中の週末は渓流釣りに明け暮れ約30年という超ベテラン、その間に得た経験から、この日はもっとも確実なポイントに私たちを案内してくれたものと思う。

心しなければならないのは、日本には何気ない市井(しせい)の人の中に、それは凄いその道を究めた人が沢山いる。自分のわずかな経験や技能に慢心してはならないと云うこと痛切に感じさせられた一日でした。

▲初めてみた縄文岩魚 ▲26.5センチの岩魚