ひとこと言わせて
President’s Mutter

藤田東久夫氏を悼んで

ひとりごと

公開日時:2012.03.21

 正月に入ってすぐの朝刊の訃報欄で、(株)サトーのCEO、藤田東久夫氏が亡くなられたことを知り、大変悲しく残念に思いました。藤田さんとは同じ大学の卒業生ですが、一貫校である同じ中学校の出身、私が旧制から新制中学になった第1回生で彼は18回生と年齢差は一回り半もありますが、非常に優れた経営者として尊敬していました。

 はじめてお目にかかったのは平成19年にいただいた藍綬褒章の授与式で、一緒に皇居に参内させていただきました。その後日本経営合理化協会主催の彼の講演をきかせてもらい、またダイヤモンド社発行の彼の著作「たった三行で会社は変わる」を読みました。彼は日本航空のサラリーマンから奥さんの実家のサトーキコーに転じ、大変な努力をかさねて社名を(株)サトーに変えて東京証券取引所に上場させました。社長をやりながら早稲田の大学院で博士号を取得されるという大変な勉強家でした。以前の結束機メーカーから、ハンドラベラーやラベル印刷機械に進み、その途上に結束機事業を思い切って辞めて、バーコードラベルとラベル機械業界のなかで、世界市場で活躍する企業に育て上げられました。大変個性的な経営者で、彼の著作「たった三行で会社は変わる」のまえがきのなかで、同じ経営者でも企業家とサラリーマン経営者の違いを的確に述べています。その言葉は次の通りですが、単に経営者に言っているだけでなく、今の政治家や国を掌る公務員のトップの方々に対しても的確に指摘しているように思えてなりません。それは次のような言葉で、私は藤田東久夫語録として多くの人に伝えています。

 企業家は会社は倒産するものだと心得るが、サラリーマンは考えたこともない
 企業家は週末を怨み、サラリーマンは喜ぶ(同じことだが、企業家は月曜日を喜び、サラリーマンは嘆く)
 企業家は会社を賭けて仕事をし、サラリーマンは自分を賭けて仕事をする
 企業家は同じことを繰り返して言うが、サラリーマンは一度言えば済むと考える
 企業家は変化を起こすが、サラリーマンは変化をきらう
 企業家にとって経営理念はものすごく大切であるが、サラリーマンにとってはどうでもいい文言の羅列である
 企業家は物事を簡単に言うが、サラリーマンはむずかしく言う
 企業家は課題に対して自ら行動を起こすが、サラリーマンは他人事だと考える
 企業家は失敗談を多く語るが、サラリーマンは成功談ばかりをくり返す

~「たった三行で会社は変わる」ダイヤモンド社~

 企業家は会社は倒産するものだと心得るが、サラリーマンは考えたこともない。この言葉を今の政治家やお役所のトップの方々にかみしめてもらいたいと思います。日本の国がつぶれる状態にあるのに、つぶれないものだと感じているのではないでしょうか。上に立つ政治家や役所のトップの人たちは、自分のためでなく国のために命をかけて仕事をしてほしいと思います。そして今何をしなければならないかの課題に対して、次世代に先延ばしにするのではなく、自ら率先して行動に移してもらいたいと思います。日本人全員がサラリーマン的な考えの人ばかりでは、衰退の一途をたどらざるをえません。枝葉末節の問題ばかりに眼がいって、本当に大事なことを避けずに、何が大事かを国民にキチンと言って行動する人が出てほしいと熱望しています。そんなときに新しい動きがでてきたことはうれしいことです。石原慎太郎さんは一寸歳を取り過ぎましたけれど、若い大阪の市長橋下徹さんと維新の会に期待をしたいと思っています。ですが、そろそろ日本人の悪い癖、マスコミをはじめ足を引っ張る動きが出てくるのでは無いかと心配しています。言うことは誰でも出来ます。だいたいお金を稼いだことの無い人ばかりが言いたいことを言っていて、全く責任を感じてないように思えてなりません。稼ぐことがいかに大変かを、全然わかってくれていません。私たち中小企業は国際競争の中で必死に戦い、自分達の力で稼いで、社員の雇用を守っています。今の政府には増税という簡単な収入源に走る前にまだまだやることがいっぱいあるでしょう・・・と言いたいのは、私だけでしょうか?