ひとこと言わせて
President’s Mutter

業界紙寄稿2 包装技術 2011/1月号掲載文

業界紙掲載文

公開日時:2011.02.18

■ボーダレス時代を勝ち抜くために

ストラパック株式会社
代表取締役 下島敏男

明けましておめでとうございます。私は昨年欧州を二度訪問し、ボーダレス時代というこの言葉を実感してきました。世界を揺るがしたリーマンショックで日本の金融機関は政府からの資金援助を受けましたが、欧州でも同様、金融情勢の悪化で多くの企業が貸渋り貸剥がしに遭遇して居ます。また欧州各企業は売上の急激な減少から、各社会社存続のためにリストラ、主にレイオフを行ったとのこと。その後売り上げが回復基調に入ると、生産に大きな影響が出てきました。特にレイオフによる働く人たちの労働意欲の減退で、品質や納期が混乱し、あまりのクレーム増加に長年の販売先を失う企業もありました。日本でのリストラは、先に役員の給与カットなどのあらゆる手を打って最後にレイオフをという順序ですが、欧米の中小企業の社長のなかには人に手をつけるのは最後だという意見を言う人もいて、日本的なやり方も必ずしも間違いでないことを認識しました。

久しぶりに英国バーミンガムで行われたPAKEX包装展をみて、あまりにも規模が縮小されていたのには驚きました。国際包装展同士の競争は大きいパックエキスポやインターパックは拡大傾向、その他は縮小してローカル展になるのではないか感じます。日本では東京パックとジャパンパックが隔年で行われていますが、出品社や見学者にとっては毎年となり、今のままでは特徴のないローカル展示会になってしますのではないかと危惧しています。主催両団体とも、いまや時代の要求に対応すべき時にきたように感じます。

日本はデフレ不況のにもかかわらず、円高で各メーカーとも苦慮しています。しかし、日本製品に対する評価はますます高まっているように思います。でもこの高価格がいつまでも続けられるとは思いません。隣国韓国の製品が低価格で市場を席巻しています。我々包装業界も国内重視から、今発展している、発展途上国を相手にする商売に転換しなければならないでしょう。日本の包装の優れた技術、ノウハウは、日本で通じれば、世界に受け入れられます。私たち日本の包装人も自由に海外相手に商売をする本当のボーダレス人間にならなければと強く思います。ボーダレスという時流に乗らない限り日本企業も日本の国も存在できない時代ではないでしょうか。