ひとこと言わせて
President’s Mutter

雷鳥に出会って考えた事

ひとりごと

公開日時:2010.12.24

私は山登りが趣味で、今年の8月には北アルプスの燕岳から槍ヶ岳まで縦走しました。その途中で、今年も何組かの雷鳥の親子を見かけました。

ここに乗せた3枚の写真は季節は違うが燕岳付近と白馬乗鞍岳で写したものです。信州大学の中村浩志先生の著作によると、日本の雷鳥は人が近づいても逃 げないが欧州やロシア、アメリカの雷鳥は人を警戒して、50メーターも近づくと一せいに逃げてしまうそうです。日本の雷鳥はむかしから神に仕える鳥として誰も捕るものが居なかったので、人間が雷鳥を襲う事がないということがDNAとして受け継がれているそうです。北海道にも雷鳥はいるそうですが、種も性格も違うようです。

本州に居る雷鳥の親子は、親は警戒して周りを監視し、子は一生懸命餌を求めて動いていますが、登山者が近くを歩いていても、決して危険におもって飛び去る事はありません、私が写真に収めようと近づくと、5メートルぐらいまでくると逃げますが、飛び去ったり警戒して遠くに離れたりする事はありません。燕山荘のオーナー赤沼健至さんによると、写真を撮ろうとすると、ポーズを取る雷鳥が居るそうです。今現在日本には約3000羽の雷鳥が生存しており、自然環境破壊や地球温暖化の影響で、絶滅の危機にさらされているとのことです。新潟県佐渡には絶滅したという朱鷺(トキ)を再び戻そうと,大変な費用をかけてトキ保護センターが努力を続けています。それに比べると、天然記念物に指定されていますが、この貴重な雷鳥をトキのように手厚く保護する計画はなくて、手をこまねいているのが現状のようです。絶滅したトキを元に戻すのは大変な費用と努力が必要でしょうが、まだ3000羽も生存している貴重な鳥をトキと同じくらい力を入れて何とか保護するように願うものです。人を警戒しないで共生している鳥は、何か平和で温和な日本を象徴するような気がします。日本の国鳥のひとつに選び、種の絶滅にならないようにしてほしいと思います。

雷鳥が人を恐れずに残っているという事は、その昔からの山岳信仰が大きく影響しているわけで、昨年封切られた新田次郎原作の映画「剣岳・点の記」にははるか昔に登頂した修験者がいたことを描いています。

よく日本人は無宗教だから軽蔑の眼で見られると日本人を卑下する事を聞きます。でも考えてみると、新年には初詣で神社におまいりします。街角や田舎道にある神社やお地蔵様にも会釈をしながら通り過ぎます。日本にはキリストやモハメッドのような象徴的な神様は天照大御神が相当するかと思いますが、その上におられる「サムシング グレート」の存在を日本人はみな認識して持っているのではないでしょうか?日本では神道と仏教が共存しています。八百万の神と、あらゆるものに神が宿っています。そして、他の宗教を排他するようなことが一部の宗派にはあってもほとんどないとおもいます。もし外国の人に日本人は無宗教だといわれて軽蔑されたら、日本人はその人たちの信じる象徴的な神の上に存在する「サムシング グレート」を神として信じている。あなた方と次元の違う宗教を信じていると言い返して、自信をもって表明すべきとだと思っています。

夏の雷鳥
秋の雷鳥
冬の雷鳥